認知症とは、障害を脳が受けることによって、記憶力や判断力が悪くなり、日頃の生活にも影響を及ぼす状態のことです。 認知症の症状がひどくなると、時間や場所なども分からなくなってしまいます。 高齢になると物忘れの症状が出てきますが、認知症の物忘れとは違います。 高齢に伴う物忘れの場合は、実際には記憶をしていて、一時的に思いだすことができず、何かの拍子に思いだすというような症状です。 これが、認知症の場合は、実際に行ったことなどを忘れてしまうのです。 そのため、思いだすこともありません。 認知症による物忘れが起こりだすと、日頃の生活にも影響を及ぼすようになります。 たとえば、男性の場合では、何度も同じことを人聞いたりします。 女性の場合は、調理する度に鍋を焦がしてしまったり、同じものを何度も買ってしまうなどです。 また、認知症によって、「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「アルツハイマー病」などの病気を引き起こしてしまう場合もあります。 ...
脳の血管が詰まる、脳の血管が破れるなどの病気があります。 それが、脳梗塞や脳卒中とよばれる病気です。 その脳梗塞や脳卒中が原因で起こる認知症を「脳血管性認知症」といいます。 脳の血管が破れることで起こる脳卒中の場合、記憶する働きをする部分や言語の部分の脳が障害を受けることで認知症が起こります。 この認知症は、精神的な部分だけでなく、身体においても症状は現れます。 身体の部分では、「歩幅が狭くなる」「ろれつが回らない」「食べの物を飲み込みづらい」などです。 精神的な部分では、「意欲低下」「イライラしやすい」「物忘れ」などの症状がみられます。 まずは、脳卒中による麻痺がみられ、あとから認知症の症状が現れることが多いです。 しかし、脳卒中になったからといって、必ずしも認知症になるということではありません。 また、確実に脳卒中の症状がみられないのに、認知症の症状が起こることもあります。 脳が障害を受けてしまった部分によって、現れてくる症状は違います。 ...
脳にある「大脳皮質」という部分の神経細胞から出ている突起や内部に、たんぱくの「α・シヌクレイン」という成分が蓄積されると「レビー小体」というものが作られます。 このレビー小体が増加すると、大脳皮質などの神経細胞は死滅します。 そのために、認知症の症状がみられるようになります。 これを「レビー小体型認知症」といいます。 脳幹にレビー小体が蓄積すると、「パーキンソン病」という手足の震え、歩行障害を起こす病気になります。 レビー小体型認知症の主な症状は、「物忘れ」の他、代表的な症状が「幻視」です。 はっきりと意識があるにもかかわらず、具体的な幻視が起こります。 また、筋肉のこわばりなどの身体的な症状もみられます。 筋肉がこわばるために、動作も遅くなります。 姿勢も前かがみなったりして、歩行することにも影響を及ぼします。 ただし、このような症状は、その日その日違いがあるので、認知症だと一見思ない日もあります。 そのため、周りの人が認知症の症状だと気づきづらく、病気に気づくのが遅れることもあります。 ...
脳の神経細胞が攻撃されて、脳が委縮してしまう病気があります。 それが「アルツハイマー病」です。 認知症においておよそ40%を占める、最も多い原因がこのアルツハイマー病です。 特徴としては、脳の「海馬」という部分が障害を受けます。 この海馬では、記憶する働きをしているため、障害を受けてしまうことで記憶することができなくなってしまいます。 アルツハイマー病の主な初期症状は、少し前の記憶がなくなります。 前日の夕食はなんだったのか分からなくなったり、約束を忘れてしまったりします。 そして、逆に昔の記憶については、しっかりと覚えているのが特徴です。 症状はだんだんと進行していき、時間や日付などの感覚さえも不安定になり、生活にも支障がでます。 たとえば、真夏なのに厚着をするなどです。 さらに、症状が進行すると、いる場所さえもわからなくなり、家の中をウロウロしたり、外を徘徊するようになります。 ひどくなると家族のことさえも分からなくなり、食事が自分ではできなくなり、寝たきりになります。 ...
アルツハイマー病を診断するために、次のような検査が行われています。 ●問診 症状や生活における支障の有無などを聞きます。 しかし、本人の記憶があいまいになっていることがあるので、家族が必ず同席することが大切です。 ●認知機能テスト 時間や場所などを把握する力、記憶力を調べる認知機能テスト「MMSE」などを行います。 たとえば、「ボール・旗・桜」などのように3つの名詞を覚えます。 そして次は100から順に7を引いていく計算を5回ほど行います。 その後、先に覚えた名詞がなんだったのか聞かれます。 この検査は2分から3分です。 アルツハイマー病は、少し前の記憶ができなくなるので、名詞が思いだせなくなります。 ●画像検査 早期診断のときに有効で、健康保険適用されている検査は、次の2つです。 ・MRI・・・磁気によって脳の断面図がみられるものです。 脳の形、脳梗塞などを確認していきます。 ・SPECT・・・放射性医薬品を静脈に注射してから、検査します。 放射性医薬品の分布から脳の中の血流を調べることができます。 ...
日本において、アルツハイマー病に使えることができる薬は、2010年8月現在1種類「ドネペジル」だけです。 この薬は、神経細胞同士の情報伝達の部分に働きかけます。 アルツハイマー病は、神経細胞が減少してしまうため、情報伝達が低下してしまいます。 そこで、この薬を使用することで、症状が改善します。 しかし、効果は一時的なものになります。 また、新しい治療薬の承認申請もあり、2011年以降にはさらに3種類の薬「ガランタミン」「リバスチグミン」「メマンチン」という薬が使えるようになる見込みとなっています。 ただし、これらの薬すべてアルツハイマー病を根本的に治療するものでありません。 進行する症状を遅らせたりする働きをする薬です。 そのため、アルツハイマー病は早期発見し、治療を開始することが大切です。 進行してしまい、神経細胞が死滅してからでは、効果があまり期待することはできません。 少しでも気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診するようおすすめします。 ...
認知症の介護にあたってみて、困難なことにぶつかることは多いです。 認知症にかかっている本人からしてみれば悪気はないものの、認知症の影響による発言や行動で、介護する側の人がつらい思いをすることもあります。 認知症の症状は、進行するもので基本的によくなることはありません。 しかし、周辺症状のような「意欲低下」「徘徊」「抑うつ」「暴力」などは、周りにいる人次第で改善することが可能です。 介護する人、介護される人との関係を良くすることにもつながります。 認知症だからとすべてやってあげるのでなく、本人ができることは自分でしてもらうことも大切です。 たとえば、料理をすることは無理でも、材料を切ることはできるかもしれません。 このようなときは、傍で料理の手順を教えてあげれば、一緒に料理をすることができます。 認知症の症状は、進行具合にも違いがあります。 そのため、その時その時の認知症の症状に合わせて介護をしていくことが大切です。 ...
●認知症の症状が軽度の場合 妄想による問題が多くみられます。 たとえば、「財布を盗まれた」「物を盗られた」などです。 しかし、これらは認知症によって、どこに置いたという記憶がなくなってしまうためなのです。 この場合の対応の仕方は、「否定しない」「丁寧に話を聞く」「怒らない」ことが大切です。 このように対応することで、認知症である本人を安心させることができます。 盗んだと人から言われれば否定したくなります。 しかし、相手は嘘をついたり、わざと困らせたりしようとしているわけでもありません。 病気がそうさせているのです。 そこを家族は理解してあげてほしいです。 そして、このような症状は、ずっと続くわけではありません。 認知症の進行とともに変化していきます。 ●認知症の症状が高度の場合 時間や場所、人物などを正確に理解したり、認識することが難しいです。 症状が進行すると、「自分がなぜここにいるのか」「隣の人は誰なのか」などはっきりしなくなります。 さらには、自分のことすらもはっきりしなくなります。 そのため、本人が安心していられるような対応をする必要があります。 基本的な対応方法は、軽度の場合と同様で「否定しない」「丁寧に話を聞く」「怒らない」ことが大切です。 認知症の症状が高度の人によくみられるのが、夕方になると「家に帰る」といいだすことです。 そのようなときは、話を合わせたり、一緒に行動するなどします。 もし、介護する人と介護される人の関係がうまくいっていないときは、一時的に介護サービスを利用することもおすすめです。 ...
家族が認知症にかかっている家族の介護は、とても負担になることがあります。 介護によって体調を崩してしまったり、生活自体成り立たなくなってしまうこともあります。 また、夫婦共に高齢で、どちらかが一方が介護をするということも増加しています。 認知症の介護は、数年間にわたって続くため、無理せずにできる範囲で続けていくことが大切です。 また、介護サービスなどを利用して、介護する人もゆっくりと休むことも必要です。 介護する人は、気分転換することも考えてください。 また、1人で介護のことなどさまざまなことに悩むのではなく、相談することも大切です。 認知症について悩んでいることがあれば、地域の「地域包括支援センター」で相談を受けてくれます。 地域包括支援センターでは、「介護サービスや施設の紹介」「ケアプランの作成」などさまざまなアドバイスをしてくれます。 各市区町村役場の福祉担当の窓口なども利用して、認知症の人とうまくつきあいをしていきましょう。 ...